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革修理ブログ
2026/10/25
B-3修理|ムートン袖口の破れを針なしで直すプロの特殊接着リペアを解説
こんにちは、革研究所 秦野店です
今回はこれ!
そろそろ準備をしておかなきゃいけないやつです。

B-3 ムートンフライトジャケット です。

そろそろ 衣替えの季節ですね。
まだまだ暖かい日も多いですが 朝晩はかなり冷え込むようになってきましたね。
タンスの中身を 冬物に入れ替えるなんてとってもめんどくさいですよね。
そして1枚ずつ引っ張り出していつまでたっても 総入れ替えしないなんて人も多いのでは
ないでしょうか。
そのままズルズル…
そして 12月に入って冬もいよいよ本番となった時 いよいよ出てきました
B-3 ムートンジャケット
もうここまで 寒くなったら これしかない!
しかし 引っ張り出してみたら トラブル発生!?
なんてことはありませんか
最後の最後になって登場してみたら
なんと カビだらけ ⤵
だったり
少し ほつれているではないかぁ!
(そういえば去年から気づいていてなんとかしないとと思っていた けど そのまま とりあえず
クローゼットに押し込んでしまった)
など
そこから修理に出そうと思っても内容によっては 早々 には直りません。
一番寒い 着たい時に着れなくては意味がないですね!
「やばっ」
って 思った人はすぐにクローゼットをチェックしてみてください。
今回の修理は袖口の破れとなります。



縫目などではなく、革が破れています。
少し引っ張ったら取れてしまいそうなほど破れているので、ごまかしながら使う事も
できません。
とてもお気に入りの一着。 何とか復活させたいとご依頼をいただきました。
アメカジ フリーク やミリタリー ファンにとっては永遠の定番であり最高の防寒性能を誇る
アイコニックな1着といえば このtypeB-3 (通称 B -3ジャケット) ですよね。
ほつれてしまったり 少しカビが出てしまった場合などはまあなんとか 修理できるだろうと
思うと思いますが.
革が破れてしまった
裂けてしまった
などであれば もう修理はできないだろうと考えてしまうと思います
しかしながら そんな風に諦めてしまう前に ぜひこの記事を最後まで読んでみてください。
今回は B-3 というフライトジャケットが持つ 深い歴史や その構造的特徴を紐解きながら
当店が挑んだ針と糸を一切使わずに行った 破れ 修理の全貌を解説いたします。
第1章 B-3フライトジャケットの歴史と「極寒地仕様」の構造
まずは、今もなお 愛され続けているこの B -3 ジャケットが、どのように誕生したのでしょうか?
その歴史を知ることで、 なぜ B-3ジャケットがこれほどまでに ヘビーな構造をしているのか
その理由が見えてきます。
爆撃機乗りのために誕生したのがこれらの
「 ボマージャケット 」 !
その中で
こちらの B-3がアメリカ陸軍航空隊に正式採用されたのは今から約90年以上前の1934年に
なります。
とても信じられない話ですが 、当時の 航空技術はまだまだ発展途上にあり防風ガラスやヒーター
といった 快適装備などは十分に備わっていませんでした。
確かに私の知る限り 私が子供の頃(昭和の後半)にはエアコンがついていない車というのも
まだまだ残っていましたね。
エアコンのついていない車なんて今では誰も買わないと思いますが、きちんと走るための
技術の追求期間の方が圧倒的に長く、歴史的に見れば快適装備 のエアコンがついたこと
なんて つい最近のことになるのかもしれませんね。
そしてさらにはそのエアコンのついていない飛行機で、車のオープンカー といったところで
しょうか 、窓が開いたままのオープン コクピットで高度1万メートルというとてつもない
超高空を飛行することもあったようです。
なんと気温-50°c以下 にも 達する高度 1万メートルの空を数時間も フライト するわけですから
、搭乗員 クルー たちは常に 凍傷や低体温症による命の危険 と背中合わせの状態にありました。
なぜ B -3 ジャケットが生まれてきたのかなんとなく見えてきましたね。
当時は 国家予算と最先端の最高技術を投じて開発を行っていました。
そして このボマージャケットと呼ばれる フライトジャケットが誕生しました。
アメリカ軍のフライトジャケットは想定される戦闘地域の気温によって 厳格に分類されて
おります。
10〜30℃のゾーンをライトゾーン
(春・秋)
-10〜10℃ のゾーンを ミディアム ゾーン
(通年使用)
-30〜-10℃のゾーンをヘビーゾーン
(極寒地と超高空用)
代表的なものは
ライトゾーン では A -2や l -2Bなどの中綿が入っていないような軽快なもの
ミディアム ゾーン では日本でもおなじみの MA -1や B-15
ヘビーゾーン では今回のB-3や B -6などです
まさに B- 3は極寒の寒さに特化したジャケットということです。
そのため 素材には他のジャケットには使われていない当時の究極の天然 断熱材が選ばれています。
その素材というのが シープスキン (羊革)となります。
ムートン素材の特性と弱点
B-3 の素材といえば リアルムートンですが 、このリアルムートンの最大の特徴は 1枚の羊の
毛皮をそのまま 裏表として使用していることで、内側には体温を逃さないためのふかふかの
天然羊毛を使い 外側にはきっちりと風をシャットアウトしてくれる タフなレザー面を使用し
ているところです。
:経年による乾燥 と硬化
羊革は牛革や 馬革に比べ 繊維がとても細かくしなやかで柔らかいのですがその反面水分や
油分が抜けやすい という 繊細な一面を持っています。
もちろん 保管方法によって大きく変わってきますが、 ヴィンテージ品の羊革のジャケット
などはどうにもならないほど カチカチに硬化しているものがあります。
うすいせんべいのように 触れば触るほどバリバリに割れてしまいリペアができないものも
ございます。
なぜ 袖口がピンポイントで裂けるのか?
袖口には 負荷がかかりやすい
B-3は非常に 肉厚で重量があるため 脱いだりきたりする時にどうしても 袖口に負荷をかけて
しまうことが多いため袖口付近が切れてしまうことがあります。
革の継ぎ目による力の集中
デザインのアクセントにもなっているレザーテープが各部についていますが この 固い レザーテープ
の継ぎ目を基点に折れ曲がることが多く 力が集中することがあります。
パリパリに固くなった革は、この力の基点に沿って割れることがよくあります。
通常であれば レザージャケットなど 例えば 牛革のライダースジャケットや馬革の A 2フライト
ジャケットなど破れた部分があればその破れた部分の裏に革を当て ミシンでその当て革を縫って
しまえば 比較的強度も 保て問題なく使用が可能となります。
しかし B-3 をはじめとする リアルムートンにおいて同じように当て革を縫い付ける 修理をした場合
ムートン部分の処理が難しく非常にかっこ悪い 仕上がりになってしまいます。
その理由を 技術的な観点から3つのポイントに分けて解説します。
:裏面のびっしり 美味しい 羊毛という壁
B-3の内側の面には先ほどご説明した通り かなり びっしりとふかふかの羊毛で覆われて
います。
もちろんここに革を当てがいミシンで縫った場合、ふかふかの毛に巻き込まれて縫い目が
ぐちゃぐちゃになってしまうことはすぐに想像できますね。
それでも無理に縫って行くと 縫ったところだけボアがはげたようになってしまいミステリー
サークルのように 針が通過した部分だけ潰れていってしまいます。
内側の見えない部分であれば まだ見た目はいいとしても これではボアの空洞ができてしまい
とても不快な肌触りになってしまいます。

これでは B-3 のメリット である 着心地の良さが台無しです
:針穴が次の破れを引き起こす 引き金になることがあります。
ただでさえ 弱くもろくなっている 革にミシンで連続した穴を開けていったらどうなる
でしょうか?
革用の針は とても 太く 1回 縫い付けるだけでしっかりとした針穴が残ります。もちろん
しっかりした 革であれば問題はないのですが、傷んだ革に穴を開けた場合 まるで紙の
チケットの切り取り部分のようにきれいに裂けてしまうことがあります。
革製品が縫い目で切れていることはよくあると思いますが、これは古くなったムートンに
対しては とても大きなリスクです。
:着丈を短くする リサイズについてのデメリット
もう一つ 縫製の方法としては破れた部分をカットして少し短くなってしまいますが 縫い直す
という手段があります。 これは綺麗に仕上がれば破れた部分を修正する必要がありませんので
とても見た目は綺麗になります。場合によっては とても良い修理方法になるでしょう しかし
今回のケースに関してはまず 袖が短くなるわけですから 左右がバラバラになってしまう
そういったリスクと先ほどの 針穴の問題があり 重ねて縫う部分はすでに 縫われている部分に
なりますので 場合によっては穴をとても 増やす デメリットになる場合があります。
さらには袖を折り返して使いますので折り返す部分が固い繋ぎ目に掛かりきれいに折り返せない
可能性もあります。
この3つの問題点を打破するため今回は「針を一切使わない 綿密な 突き合わせ 接着」と
いう リペア方法を選びました。
接着で簡単につくなら苦労しないよとおっしゃる かもしれませんが、そんなに簡単には
付きません。
そして問題なのは ただつくだけではダメで、強度を保てることが必要になるということです。
一見 きれいに付いていてもただでさえ 力の入る袖の部分ですので 1回着ただけで切れて
しまったら何の意味もありません。
4-1: 繊維のささくれを整える 精密な 前処理
避けた革は繊維がボサボサに 毛羽立って切れている 断面 もまちまちです。このままでは
綺麗に貼り付けることはできません パズルのピースを合わせるように 元の状態に合わせて
いくためにまずは 下処理を行います。
4-2:ムートンを繋ぐための柔軟性を持つ特殊接着剤
ムートン生地という特殊な素材をつなぐためには 接着剤 選びが重要です。
一般的な瞬間接着剤や硬化するタイプのボンドを革に使うと 接着した部分がカチカチに
固まってしまいます。
これは革の表面に塗る塗装にも全く同じことが言えますが 、柔軟性のある素材でないと
革には塗れません。
カチカチに固まる ボンドや塗装はとても強いのですが強いがゆえに割れてしまうのです。
例えば自動車に使われる 塗装 を革に塗ったとしましょう.鉄板の上であればとても 強固な
塗装でありますが、ひとたび 革の上に塗ると 少し折り曲げただけでパリッと割れてしまう
ことでしょう。
柔軟性を損なわない接着剤を数 ミリ単位で少しずつ塗布していきます。
4-3:圧力と時間をかけた 突き合わせ
接着剤を塗った後 革の表面同士がしっかりと平らになるよう指先の感覚だけで突き合わせを
行います。
ここで 少しでも 段差が出てしまうと 光の反射でここに傷がありますと目立ってしまうからです。
ぴったりと 位置を合わせたらしっかりと圧力をかけ 押さえつけていきます。
ここまで来たら 後は 通常の革研究所で行っている革のリカラー工程となります。
細かい 毛羽立ち などを抑える 溶剤を塗布し着色していきます。
今回のムートンはかなり古いものでダメージがあります。
袖の修理した部分だけ綺麗になってしまうので 一度きれいに 修復した後 サンドペーパーなどを
使いダメージを再現していきます。
周りのダメージに合わせ 雰囲気があってきたら完成です。
いかがでしょうか
✨✨✨綺麗になりました✨✨✨
before

after

before

after


:着脱時は 袖口でなく 肩や身頃を持つ
今回の接着 施工はとてもしっかりできています。 もし 強く引っ張ったら 接着部分は剥が
れず その周りが破れると思います。
しかしながら着脱時は弱っていると思われる部分に力は入れないようにし、 極力 みごろや
肩などを大きな範囲で掴んでいただくといいと思います。
ピンポイントで強くつまむ などの行為は避けましょう。
:クリーニング店の丸洗いは原則 NG
リペアに使用する接着剤や塗料は通常の着用には強い耐性を持っていますが 、クリーニング店
でドライクリーニング などにした場合、 科学反応を起こして 溶けたり剥がれたりするリスクが
ございますので避けていただいた方がよろしいかと思います。
:定期的な正しい オイルアップで次なる汚れを防ぐ
先ほどの説明にも少しありましたがシープスキンはバリバリに固まってしまうことがあります
ので、そうならないよう シーズンオフの収納前や 秋口の着はじめのタイミングで ムートン専用
の保革オイルを全体に塗り込んであげてください。
革の内部に潤いが戻れば 繊維に柔軟性が生まれ新たな 破れや ひび割れを未然に防ぐことができます。
あなたの大切な ヴィンテージ 諦める前に当店にご相談ください。

B-3などの ヴィンテージジャケットの修復はただ単にきれいになればいいと言ったもの
ではありません。
個々のエイジングを活かし ヴィンテージ感を残したまま 修理したいところですよね。
そういった ご要望は非常に多いです。
古すぎるから
破れが大きすぎるから
他のお店で 一度断られているから
そんな理由で クローゼットの奥にしまったままであれば一度ご相談ください。
もちろん 直らないものもございます。
今回も 袖口の切れた 断面がカッターのように スパッと切れていた場合接着で繋ぐのは
非常に難しくなります。
難しいかどうかは 見てみないと分かりませんのでダメ元でご相談ください。
あなたの大切な一着とこれからも長く続く レザーライフを 私たちは全力でサポートいたします。
若いオーナー様ですが、ジャケットもヴィンテージですが、車もヴィンテージです!
今回はこちらのお車でご来店くださいました。

激シブ です🥰

少し乗せていただいたのですが、乗った瞬間父親の車を思い出し子供のころに戻ってしまいました。
昭和のいい時代を感じます。
1967年(昭和42年)〜1971年(昭和46年)頃に生産されていた日産の グロリアと言う車で
通称 「 タテグロ 」
ってやつですね。
なんと ナンバーは 相模 5 すごい 激レアです!

コラムマニュアル です。 と言って分かる人はいますかね?
縦に並んだヘッドライトが特徴なため 縦目のグロリア からタテグロと呼ばれるように
なりました。
私は車の事はある程度分かりますが、還暦を迎える車とは思えないほど鉄板がしっかりし
ておりびっくりしました!
ぜひ 大切に乗っていただきたいです!
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